第83章 条件交渉をする

「お前ら、耳が聞こえねえのか!」

中山正志が怒鳴りつける。

「この女に一生当主をやらせて、死ぬまで搾り取られたいのかよ!」

正志はいま、怒りで頭に血が上っていた。最初は皆で手を組み、中山紗奈を引きずり下ろすはずだった。ところが自分が負けた途端、一族の連中は一斉に腰が引けた。

中山家の者たちは、誰も口を開かない。俯いたまま、正志の罵声を受け流すしかなかった。

馬鹿じゃない。正志はすでに勝ち目を失っている。ここで手を出したところで、結末は変わらない。しかも一線を越えれば、紗奈が許すはずもない。

それに――正志は中山美由を盾にして紗奈を脅した。姪にまで手をかけるそのやり口に、一族は「こ...

ログインして続きを読む